過去になく苦戦した“ワームヌードル”以前より構想はあったものの、グロテスクな写真を想定して避けていた。もしこのアイデアを生かすなら“冬”と決めていた。なぜなら、湯気のたったカップ麺をほおばる姿を想像していたから。カップ麺のイメージは豪華な食卓とは程遠く、独り暮らしの学生君か片手間の食事が頭に浮かぶ。また、コンビニ前のう○こ座りもイメージできる。結果、レイアウトの兼ね合いで方向は後者に決定した。
ワームと言えば…ソフトプラスティック素材によるお菓子のグミのような弾力。これを箸で摘むと…張りが出てしまう。茹で上がった、くったりした麺のイメージとは程遠い。そんなことから、ワームを煮てみた(笑)。気持ちかな?柔らかくなったような気がした。しかし各ワームの素材によって反応は異なる。外に出ると、かじかんだ指先で麺(ワーム)を操るのは上手くいかなかった。なぜなら針先をしっかりと見せてやらないと、採用されたイエローワームはマジでヌードルにみえちゃうから…(笑)。かといって、青や赤のワームを使うと、当初イメージしたとおりにグロテスクになってしまう。それはそれは食卓どころか、吐き気につながるアンチポップな光景。「それではラメの入った半透明な素材ならポップになるのでは?」と思ったら大間違い。驚いたことに半透明な麺は、重なれば重なるほど黒ずんでいくのです。実際トライしてみないと見えないことは山ほどある、無駄を省くために頭の中で一生懸命考えたが、あくまでもオナニーか?これにも限界があることを思い知らされえた。
そんな困難を乗り越えて、ワームの中にエアを含んだ柔らかいバブルガムワームで決行。撮影当日は風が強くて、湯気を写真で捉えるのは本当に難しかった。普段吸わないタバコの煙をカップに吹き込んで、湯気を演出したもののボリュームにかける。結局…熱湯を流し込んで、瞬間的にシャッターを切っていった。200枚くらい撮ったのかな…、なんとか2枚だけ湯気写真がありました。こうしてブラックフライズのスタッズメガネもアクセントに入れて、ストリートでカップ麺(ワーム)をほおばる表紙が完成したわけでした。いやいや…表紙には悩まされる~(汗)。