「臭い付き」や「味付き」のソフトベイトを見ながら疑問が浮かんだ。「人間がいつも食べている食材でワームを作ったらどうだろう?」って。釣りをしている人が聞いたらバカバカしい話だが、くだらない疑問でも気になることはアタックするのがこのコーナー。編集長コマツさんと笑いながら話し決定。後日コマツさんから電話があり、大阪池田市にある、ワーム製造に強い“MARS”さんを訪れることになった。
日頃の生活で鼻につく刺激的な風味を考えぬいた。ワームは油分を固まらせたもの、従って配合物に水分があると配合不可能になるのだ。ワームとは特殊なプラスチックを溶かし、これまた特殊なシリコンの型に流し込んで製作する。プラスチックを溶かすには電子レンジを使うようだ。これはまさにクッキング!こうなると気分はシェフ。用意したのは粉末の「にんにく」、「カレー」、「フルーツティー」、「コーヒー」の4種類。さて…お魚のお口に合う料理を作ることはできるだろうか?首をかしげながら見守る“MARS”の筒江さん。こんな実験的な生産もしたことがないらしい。決してヒット商品を見守る目でなく、心配のなにものでもなかった(笑)。熱した液体プラスチックの中で水分が蒸発して小さい大量の気泡が出来る。うまくシリコンの型に流れ込んでくれないのだ。しかし百戦錬磨のMARSさんのご協力で、アジを狙うためのワームが完成した。あとは釣り場が答えてくれるだろう。
実験は誰でも簡単に釣りに行ける波止場で行った。釣りを始めてすぐに待望のアジが「にんにく」のワームで釣れた。喜びと安堵感と共に疑問も生じる。続けて「コーヒー」にもヒット!!その後も「コーヒー」「にんにく」には「アジ」がヒットし続ける。当初の予想との違いに面白さを感じながら、遂に「フルーツティー」でも釣れた。そして残るは「カレー」だが、最後まで「カレー」で「アジ」は釣れなかった。この結果をどう捉えたらいいのか…(汗)。
釣果の結果が腕前って意見もあるが、僕の見解では4種類の中で臭いも味も申し分無かった「カレー」だが、他の3種類とは異なる点があった。それはカラーが明らかに「カレー」だけ付いているということ。他の3種類はクリアボディにラメの様な食材が融合している。「ここのアジングにはクリアが有効」という話を後から聞いた。どうやら「カレー」はポイントに合ったカラーでは無かったようだ。ワーム釣りをする方にとってカラーセレクトは常識であり、そんな常識も知らない僕…。いつもはトッププラグをメインに釣りしている僕には新鮮な解答だった。正直決定的な解答は望めなかったのだ。そして釣った「アジ」は、美味しかったという記憶が残るチャレンジでした(笑)。
BubbleSoundFreaks 山上